今回は脱水塩化水素の発生法をまとめてみました。
水が存在するとうまくいかない反応系でこれを使うと上手くいくことがあります。選択して知っておくと良いでしょう。
筆者の経験ですが、塩化水素をエステルの加水分解の条件で加熱するのを苦労した覚えがあります。
塩化水素は揮発性が高く、室温程度でも。結構溶液中から気相に逃げてしまいます。
普段あまり意識しないと思いますが、反応系は大きく、固相、液相、気相に分けることができます。
したがって、溶液中から逃げ出してしまうと反応を起こしにくくなってしまうわけです。こういったことを気にしながら反応系の設定をするのが良いでしょう。
加熱条件下でプロトン酸を使いたいのであれば、硫酸やトシル酸、カンファ―スルホン酸を使うとよいでしょう。
コスト面で言うと、硫酸が圧倒的に有利です。
一方でトシル酸、カンファ―スルホン酸は比較的安く、固体で秤量できるので、ハンドリングがとても良いです。
自分が組みたい反応系に応じて選ぶと良いでしょう。
・AcCl/MeOH[1]
他のアルコールでも代用可能です。EtOHやi-PrOHなどは見たことがあります。
・SOCl2/MeOH[2]
・(COCl)2/MeOH[2]
・TMSCl/MeOH[3]
Cf)
TBSOTf/MeOHでTfOH(トリフル酸)が発生させられます。
・TMSCl/PhOH[4]
Reference
- https://doi.org/10.1080/00397919808005101
- https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2009/ob/b902338k
- https://doi.org/10.1021/jo990311w
- https://doi.org/10.1021/jo00071a028
ちなみに塩化水素と塩酸は別物です。塩化水素水溶液が塩酸なので「脱水塩酸」などと不思議な言葉を作らないようにしてください。